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西洋風景模様黒留袖
染繍美術大彦製　野口眞造作　三越扱

新年の第一弾には目で見て楽しい、素敵なお着物を何点かご紹介させていただきたいと思います。
独創的な意匠を東京友禅の高い技術で表現され、お着物ファンにも長く愛され続けている染繍美術大彦・野口真造氏作の東京友禅と刺繍で西洋の風景を描いた黒留袖の素晴らしい作品です。
野口氏はこういったモチーフをお着物に好んで取り入れられ、その当時の特選呉服ならではの大変人気の高いものだった様です。
上前から下前までゆったりとした雰囲気で川が流れ、小舟が人を運び、水鳥が遊ぶ、ゆっくりとした時間が流れている様に感じられます。
川のほとりには花の冠を作っている高貴な婦人が座り、音楽を奏でたり、お花を手折る女性がいたり、その周りには草花も咲き乱れ、平和な世界が広がっています。
遠くには緑の木々と家並みが描かれています。
いつのどこの風景かは定かではありませんが、美しい絵画を見ている様な美しい作品です。
このお着物がつくられた当時は、黒留袖と言えば鶴や鳳凰などの図柄が主流で、赤い色や金糸がたっぷりと使われたものが圧倒的に多かったと思われます。
こんな黒留袖はきっとものすごく目を引いた事と思います。
残念な事にこちらは一度もお召しにならなかったようですが、時代的に寸法がとても小さかったため、当店でお手入れしてお仕立替えをいたしました。
今見ても新鮮さを感じられる、細やかな友禅や刺繍の中に次々と嬉しい発見があったり、長い時間見ていても飽きないくらい素敵なお召し物です。
別でご紹介させていただいています白鳥の訪問着と同様に、お着物ファンの方には是非一度実物をご覧いただきたい、昭和の逸品です。
お仕立替済。
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