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蟹の刺繍藤布八寸名古屋帯
誉田屋源兵衛製

以前にも一度ご紹介させていただいた事がありますが、誉田屋源兵衛さんの刺繍のタイプの名古屋帯が入荷いたしました。
今回は自然の中にある植物繊維を使って織られた「原始布」とも呼ばれるものの中でも希少性の高い、藤の蔓の内皮を加工して織られた藤布の帯地を使用されています。
現在では京都の丹後地方でわずかに織られているだけのようです。
麻とも科布とも違うしなやかさ、なめらかな質感、そして独特の少し黄色味をおびた砂色のようなベージュの色はなぜか懐かしく感じられ、とても魅力的です。
古代の人々の知恵の結晶ともいえる「原始布」には限られた資源を最大限に活用するという日本人の底力を実感しますが、そういった事はどこかに置き忘れてきてしまったように思えるほどに現代は便利になってしまいました。
そんなことを感じさせられる力強い布に、こちらは対照的なのどかな表情の蟹さんが真鍮色のキラキラした手刺繍で描かれた名古屋帯です。
前柄は網目の模様で片面のみとなっています。
使い込むほどに味わいを増す自然布の魅力と、都会的なテイストの色使いの手刺繍という組合せの妙味をお楽しみいただけそうな、おすすめの一点です。